究極のお嬢さん芸

すきなことを、すきなだけ

さらけ出すこと、引き出すこと

She is さんのvoice 公募に応募しました。テーマがわたしには難しくて、だからこそ楽しかったです。

テーマはですね、ほのあかるいエロ、です。はい、むずかしー笑。

 

 

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よければどうぞ

 

さらけ出すこと、引き出すこと


この前ちょっと全部めんどくさくなって、2ヶ月ほどロンドンに行ってきた。ロンドンに行く度に、劇場にたくさん行くのだけど、『Venus in fur』という、ちょっとダークでシニカルだけどある意味ロマンティックコメディな芝居にどハマりして、結局5回もその劇場に足を運んでしまった。


 ある大嵐の夜、マゾッホの小説『毛皮のヴィーナス』を舞台化するため、演出家のトーマスは主演女優のオーディションを行っていたが、なかなか適役は現れずにいた。そこに偶然にも主役と同じ名前の女優ヴォンダが現れる。最初はヴォンダを適当にあしらうトーマスだったが、そのうち二人だけのオーディションは思わぬ方向に進んでいく…。といったストーリーである。


 “マゾ”の語源であるマゾッホの『毛皮のヴィーナス』という小説がモチーフになっているからか、最初から最後までずっと、舞台の上には男女のエロティックな緊張感が漂っている。トーマスとヴォンダの二人しか出てこないが、いわゆるラブシーンどころかキスシーンすらない。でも、際どいシーンはいくつかある。 


この作品は稽古場という密室の中で、二人のポジションが常に切り替わっていく。演出家と女優、現実とフィクション、SとM、男と女、そんなものが一瞬であっさりとスイッチングされていく。そのたびにトーマスは自分が無意識に隠していた自我をヴォンダによって引き出されていくのだ。


 会話劇なので、最初はストーリーを追いかけていくだけで必死だったのだが、そうじゃない部分でわたしの何かが引っかかっていた。それを知りたくて劇場に何度も通い、台本まで買ってしまう熱の入れようだった。


 帰国して少し時間がたった今、ちょっとだけその引っかかった何かがわかった気がする。密室という空間で、普段隠している自分を全部さらけ出すことも、自分の影響で目の前にいる相手が隠している何かを引き出すことも、両方とってもセクシーなこと。そのある種の快感を追体験したくて劇場に通っていたのだと思う。

あともうひとつ、ヴォンダとトーマスの関係で好きなところがある。二人はお互いに自らの意思で向き合い、さらけ出しあっているところだ。書いてみると本当に当たり前のことなんだけれど、自らの意思と相手の同意って、大人のエロティックな関係の基盤として何よりも大切なことなんだと改めて思い知らされた。

 

このことをしっかり認識することが、大人への第一歩なんだなと感じる、今日この頃。